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なりわい交流館 | 小田原市所有建造物

※ 写真 : なりわい交流館 | 「小田原かまぼこ通りまちづくりフォーラム」

[ 学生とつくる小田原かまぼこ通り]

小田原かまぼこの作り方

 

藤井ゼミナールA班

(3年:塙耀,川辺勇季,澤田梨子 2年:河原美幸,半田龍一郎,村石雅貴)

 

○導入

皆さん、小田原かまぼこの作り方はご存知だろうか?魚をすり身にして板の上に乗せただけだと思っている方がいるかもしれない。私たちもそう思っていた1人だった。しかし、今回の取材でそこには私たちが知らない考えや技術などの奥の深い世界があった。ここではそんな世界がある事を紹介したいと思う。

○取材先のお店

今回私たちの班は「小田原かまぼこ通り」という名前にも含まれる「小田原かまぼこ」の作り方にせまるべく、小田原かまぼこ発祥のお店である「鱗吉」さんを、取材した。

創業は天明元年(1781年)であり、このお店のたどってきた歴史は小田原かまぼこの歴史と重なるという老舗のお店だ。元々は北条家に魚を納めるほどの周辺で一番大きな魚問屋だったという。「鱗吉」の由来は北条家の家紋である三つ鱗と創業者の田代吉右衛門の字を取りできた。

小田原カマボコ通り| カマボコ通り活性化委員会

○小田原かまぼこの特徴

小田原かまぼこは、素材そのままを活かすため、他に比べて水・小麦やでんぷんを入れる量をとても少なくしているところにある。

これにより、生地の量を多く作ることは出来ないのですがその分、生地に対するすり身の割合が素材の味を濃く感じられ、弾力の強い歯ごたえあるかまぼこになる。

○小田原かまぼこの作り方

原材料にはグチという魚を使用する。鱗吉では、国内各地だけでなく、タイ、ミャンマーからものを使用している。かまぼこの作り方には複数の工程がある。

1身落とし 

仕入れた魚を切り、新鮮な魚肉を取る。

2水晒し 

天然の井戸水を使い、魚肉の油や血合いを取り除く。

3脱水 

水に晒した魚肉の余分な水分を除く。

→ここまでの工程は外部に発注し、お店には冷凍された魚肉が届くところから始まっていた。実質、私たちが見ることができたのは以下の工程からである。

4削る 

冷凍された魚肉を練ることが出来るように専用の機械で削り節状にする。

小田原カマボコ通り| カマボコ通り活性化委員会

5擂潰 とても重要なポイント

字の意味は、すり混ぜるという意味。削った冷凍魚肉を石臼で文字通り、すり混ぜていく。このときに、塩、砂糖、酒、卵白、でんぷん・小麦を入れて味付けをしていく。

この工程には2種類ある。

・空摺り:削った生地だけを混ぜる作業。

・塩摺り:空摺りの次に塩を加え混ぜる作業。これにより、ほかの調味料の味がつきやすくなり、また蒸した時にかまぼこ特有の弾力を生むことができる。

この工程でとても重要なのが、温度管理だ。擂潰は徹底した品質にこだわるため、生地の温度を急に変えることはせず、低い温度で鮮度を保ったまま時間をかけて行う。(両方合わせて2時間近く)また、器具や空調の温度管理もとても重要なことで、例えば石臼は常時-4℃を保つように冷水などをためていた。石臼はこの温度でないといけないらしく、これより上回ると鮮度が落ち腐る原因になる。逆に低くても生地が柔らかくならず、硬すぎてしまう。

小田原カマボコ通り| カマボコ通り活性化委員会

6筋抜き(裏ごし)

 すり身の中の小骨や皮を取り除き更に、きめの細かさと白さを増すために行う。

7成型

 いよいよ、かまぼこを形作る工程だ。この工程は伝統的な手作業も残ってはいるが多くが機械化されてきている。鱗吉でも機械で作っています。ここでは、筋抜きまでできた生地を機械に投入し、口金と呼ばれるかまぼこを形作る器具を通し、生地を押し出す。押し出された生地は均等な長さに切断する。こうして皆さんが知る、かまぼこの形になっていく。口金とは、自動で形を整えてかまぼこを製造する画期的な器具である。

一見、機械にまかせておけば良さそうな工程だが、ここでも温度管理がとても重要です。特に口金の温度管理は3℃を目安に保つことです。

小田原カマボコ通り| カマボコ通り活性化委員会

8蒸す

蒸し器によって90度の蒸気で蒸し焼きにしていきます。

9冷却、包装

製品の温度が0度になるくらいまで冷却し、包装します。

 

○まとめ

いかがだったろうか?かまぼこはこのようにしてつくられている。

私たちは正直、かまぼこはおせち料理で見るだけで、どのように作られているのかを詳しくは知らなかった。そのため、すり身を蒸すだけだと思っていたものだった。しかし実際にはかまぼこ作りはとてもデリケートなものなのだと知り、食材から使用する器具、空調など作る工程の至るところまで温度管理を徹底していたのがすごく印象的だった。

また、ここまでして高品質なかまぼこを提供することに力を注ぐ鱗吉さんの熱意がすごく伝わってきた。作業員の方は作業中には会話をすることなどほとんどなく、生地の状態を見ながら絶えず作業を行っていてとても緊張感のある現場だった。

小田原では駅から少し歩けばこのように熱意を持ったかまぼこ屋さんが多数存在する。そのどれもが特徴の違ったかまぼこを販売している。小田原に訪れた際にはお城だけでなくこうした質の高い小田原の特産品を見に少し足を延ばしみてみるのも面白いかもしれない。

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